知っておきたい作業療法
精神障害の作業療法
社会生活とのつながりを取り戻します
統合失調症や躁うつ病、アルコール依存症などの精神疾患では、特に社会生活での対人コミュニケーションの問題から、閉じこもりがちな生活に陥りがちです。それにより、遊びや趣味の時間を持てなくなってしまうことで、生活全体が平板になります。症状や治療が長期化しやすく、体力も様々な生活能力も低下していきます。
精神障害での作業療法では、こうした問題を改善させるだけでなく、興味や関心の幅を広げていきます。作業活動を通して社会とのつながりを取り戻していくのです。
また、近年では精神障害者の脳機能の問題も指摘されており、それによる集中力や判断力の低下の改善も求められています。作業療法士は、医学的情報や知識をもとに適切に問題を把握し、脳機能面からのアプローチを行うことができます。
作業活動のもつ力
作業療法士が取り扱う作業活動には、たくさんの効果があります。身体障害の作業療法では、手足の動きを取り戻すための訓練として用いられますが、精神障害の領域では、またさらに幅が広い目的で応用していきます。
作業療法士は、患者さんの回復の程度、年齢・性別、能力や意欲の度合いに応じて、"夢中になれる作業活動"を準備します。患者さんが「簡単すぎるな」または「難しすぎるな」と思うようでは不適切です。夢中になるためには、どんな道具を使ったらよいか、1人でやるか、みんなでやるか等の環境にも配慮しなければなりません。
夢中になれる活動を通して、自分の気持ちを表現したりすることは、気分の改善だけではなく、コミュニケーションのきっかけにもなります。1人でもその活動ができるようになれば、余暇活動として日課とすることができます。また、材料や道具を買いに行く目的もあらわれ、社会生活への意欲が増していきます。
私は学生の頃、恩師に「ハンカチ1枚で遊びを10個考えられるようになれ」と指導されていました。経験を重ねていくうちに、10個も20個もアイディアが思い浮かぶようになります。

