ベテラン作業療法士が受験への不安に答えます!
手先が器用でないと作業療法士になれませんか?
陶芸や機織り,様々な手工芸を作業療法の視点から学びます
作業療法では、患者さんの状態や目標に応じて様々な"作業"を訓練のなかに取り入れます。陶芸や機織り、手工芸などのものづくりは、そのほんの1部でしかありませんが、学生はそのノウハウを学び体験します。ただし、授業の目的は、作品を上手に仕上げることではありません。作品を上手く仕上げられなくても良いのです。
最も重要な目的は、その作業がどのような工程によって成り立っているかを分けていくことです。そしてその1つ1つが、心や体にどのような影響があるのか、また病気や障害に対してどのような効果をもたらすかについて学ぶのです。
例えば、単に"紙をちぎる"という工程があったとします。わずかな作業ですが、様々な意味や目的を見出すことができます。両指の感覚や力、操作、集中力や目線の移動、その他にも数多くあげられます。
こういった要素を病気や障害のタイプ、問題点に当てはめていきます。また、ちぎるという作業が、ストレス発散となるケースもあります。ちぎった紙を枠内にはりつけ、きれいに仕上がった作品を誰かにプレゼントするという行為も、何らかの目的を果たします。作業中のコミュニケーションや完成作品のイメージをもつことも、作業療法には欠かせない要素となります。
少しくらい不器用な方がよいかもしれません
実際、患者さんの前で、療法士が上手に作品を仕上げていく場面や、お手本となる作品を提示することは、信頼関係の1つともなり得ます。しかし、それだけではありません。患者さんと同じ目線で、少しくらい不器用で、できないところがあった方が患者さんとの関係を深める場合もあるのです。
また、できる人、器用な人にはわからない、"不器用な人"の感覚を知っていると、ハンディキャップを負った患者さんの大変さをより身近に感じることもできます。「私、作業療法士なんですが、鶴が折れません!」と、年配の患者さん達の前で宣言すれば、「じゃぁ私が教えるよ」と意欲を示し始める患者さんも少なくないのです。作業療法士は、器用な面、不器用な面、両方を持っていた方が良いように思います。

